2015年10月11日日曜日


待望の春画展始まりました。一時間待ちです。永青文庫がこんなに混んでいるのは前代未聞。熱気に空調が追いつきません。凄い集中力で見ているのはだいたい若い女性です。 

I just visited Shunga Exhibition at Eiseibunko Museum in Tokyo. This is an epoch-making event for shunga (classic Japanese erotic paintings and prints), which literally means spring pictures. It has been a taboo to show these works of art in public particularly at public museums in Japan. Be prepared to wait for more than an hour outside, and you will never regret it. Of note is that keen viewers are mostly young females.

2015年10月6日火曜日

ニキ・ド・サンファル展 Exhibition "NIki de Saint Phalle"



国立新美術館でNiki de Sait Phalleの回顧展が開かれている。Nikiというアーティストの存在は以前那須にあったニキ美術館の名前から知っていたが、実際の作品を見るのはこれが初めてである。展示冒頭で現れる射撃アートのビデオは今みても十分なインパクトで、1960年代としては文字通り鳴り物入りの一大パフォーマンスであっただろう。個人的にはナナのシリーズが一番好きである。私はニキ=女性解放の騎手とは捉えたくない。その一面は否定できないとしても、彼女のアートは古い価値観と戦った女性、60年代という時代性を超えて十分に魅力的だ。あまり背景を先入観とせずに作品そのものを楽しめばよいのだと思う。

2015年9月28日月曜日

柴田敏雄 写真展 "EARLY WORKS 1971-1986"


柴田敏雄の初期の作品展が神保町のGallery Mestallaで開かれている。現在のスタイルが確立する前の試行錯誤時代の作品である。大学卒業直後と思われる版画やシルクスクリーンの作品、ベルギー留学中の写真作品も展示されている。版画はまだ学生の初々しさが残るもので、その後の柴田写真を想像することはできない。留学中の作品はすでに今の柴田を感じさせるものであり、最近の作品と並べて見ても違和感がない。実はとても気に入った作品があったのだが、残念ながら非売品とのこと。帰国後の夜のシリーズはまさしく柴田の暗中模索の作品だ。荒涼とした高速道路の夜景を見ていると胸が締め付けられる。この深海のような世界から後の「日本典型」が生まれたことは驚きであり、柴田ファンとして感無量である。今回の展示は柴田写真をより深く理解したい者にとって必見である。

http://www.gallerymestalla.co.jp/exhibisions/15/shibata/index.htm

現在パリでも夜の作品の展覧会が開催中である。
http://www.parisphoto.com/agenda/toshio-shibata-night

2015年9月22日火曜日

水谷吉法 写真展 Yoshinori Mizutani "YUSURIKA"


水谷吉法の作品展示"USURIKA"が明日まで六本木のIMA Concept Storedで開かれている。作品を見るのは初めてであったが、最初の1枚からどんどんとその世界に引き込まれた。後から彼が多くの国際的な賞を受賞した若手写真家であることを知った。身の回りの光景を写しているはずなのに別世界に連れて行かれるような感覚がある。この世界をあまり言葉で「評論」したくないと思わせるほどに「感性の領域」なのだ。将来が楽しみな作家である。VICEのインタビュー記事も興味深い。

2015年9月14日月曜日

No Art, No Life



乃木坂のGallery Art Unlimitedの展示"No Art, No Life"を見てきた。柴田敏雄のような大家だけでなく若手の作品が興味深く、特に都市の風景を切り取った小沢朋範の写真作品に惹かれた。モダンな画面構成のみならず緻密なカラープリントが印象的である。ちょうど作家が在廊で話をすることができた。4x5のフィルムをドラムでスキャンし、プリントは専門家と色の出方を相談しながらインクジェットで行うとのこと。タイプCプリントよりしっとりとした質感があるかもしれない。手をかけるとここまでできるのかと感心したが、アマチュアが趣味でできることではなさそうだ。

2015年8月30日日曜日

Cy Twombly 展


今日はCy Twombly 展(原美術館)の最終日。見逃せないと思ってはいたのだが最終日午後の駆け込みになってしまった。入口に列ができていることに驚いた。開催直後から多くの人が訪れ、図録はあっという間に売り切れたらしい。Twomblyのことはほとんど知らなかったが、美術館のホームページを見てにわかに勉強した。今回の展覧会は本邦初の回顧展である。内容は2003年のHermitageでの展示とほぼ同じ(相続の関係で数展少ない)で、最晩年を除く50年の画業紹介になる。

天衣無縫の筆(手)はart brutやautomatismを彷彿とさせ、何とも自由で楽しい。事実、本人は「自分の作品に失敗はない」と言ったそうだ。このように天真爛漫な創作活動を送れるアーティストがどれだけいるだろう。2012年にはTate Liverpoolで"Turner Monet Twombly"という展覧会も開かれた。意外な取り合わせだが、たしかに具象とも抽象ともつかない即興的な作品が3人に共通して見られる。私がTwomblyに強く感じるのは作為を消し去るということだ。作為がなければ自由になれる。感興の赴くまま手の動くまま描く絵は見る者の心をこんなにも軽やかにするのだ。

2015年8月29日土曜日

木村伊兵衛写真賞 40周年記念展




川崎市民ミュージアムで<木村伊兵衛写真賞 40周年記念展>が開催されている。歴代の受賞作品が一堂に会する本記念展は貴重だ。とは言え50人以上の受賞者の作品を鑑賞するにはエネルギーを要する。2時間半かけて見終わった時には憔悴していた。社会性の強いもの、私写真、ファインアート、グラフィックアートまで、これだけ広いジャンルから受賞者を選ぶのが難しいことは想像にかたくない。最終選考会の討論内容を聞いてみたいと思う。個々の作品についてコメントすることはできないが、印象に残ったものに*をつけてみる。

第1回 (1975) 北井一夫「村へ」
第2回 (1976) 平良孝七「パイヌカジ」
第3回 (1977) 藤原新也「逍遙游記」ほか*
第4回 (1978) 石内都「APARTMENT」
第5回 (1979) 岩合光昭「海からの手紙」 倉田精二「ストリート・フォトランダム・東京75~79」
第6回 (1980) 江成常夫「花嫁のアメリカ」
第7回 (1981) 渡辺兼人「既視の街」*
第8回 (1982) 北島敬三「ニューヨーク」
第9回 (1983) 該当者なし
第10回 (1984) 田原桂一「TAHARA KEIICHI 1973~1983」*
第11回 (1985) 三好和義「RAKUEN」「惑星」
第12回 (1986) 和田久士「アメリカン・ハウス─その風土と伝統」
第13回 (1987) 中村征夫「全・東京湾」「海中顔面博覧会」(写真集)
第14回 (1988) 宮本隆司「建築の黙示録」「九龍城砦」*
第15回 (1989) 武田花「眠そうな町」「続・眠そうな町」/星野道夫「Alaska風のような物語」「Alaska北緯63度」
第16回 (1990) 今道子「EAT Recent Works」*
第17回 (1991) 柴田敏雄「日本典型」*
第18回 (1992) 大西みつぐ「遠い夏」/小林のりお「FIRST LIGHT」
第19回 (1993) 豊原康久「Street」*
第20回 (1994) 今森光彦「世界昆虫記」「里山物語」
第21回 (1995) 瀬戸正人「Silent Mode」「Living Room Tokyo 1989-1994」
第22回 (1996) 畠山直哉「LIME WORKS」「都市のマケット」
第23回 (1997) 都築響一「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」*
第24回 (1998) ホンマタカシ「TOKYO SUBURBIA 東京郊外」
第25回(1999) 鈴木理策「PILES OF TIME」*
第26回 (2000) 長島有里枝「PASTIME PARADISE」/蜷川実花「Pink Rose Suite」「Sugar and Spice」*/HIROMIX「HIROMIX WORKS」
第27回 (2001) 川内倫子「うたたね」「花火」*/松江泰治「Hysteric 松江泰治」
第28回 (2002) オノデラユキ「cameraChimera カメラキメラ」*/佐内正史「MAP」
第29回 (2003) 澤田知子「Costume」ほか
第30回 (2004) 中野正貴「東京窓景」
第31回 (2005) 鷹野隆大「IN MY ROOM」
第32回 (2006) 本城直季「Small Planet」/梅佳代「うめめ」*
第33回 (2007) 岡田敦「I am」/志賀理江子「Lilly」「CANARY」*
第34回 (2008) 浅田政志「浅田家」
第35回 (2009) 高木こずえ「MID」「GROUND」*
第36回 (2010) 下薗詠子「きずな」*
第37回 (2011) 田附勝「東北」
第38回 (2012) 菊地智子「I and I」/百々新「対岸」
第39回 (2013) 森栄喜「intimacy」
第40回 (2014) 石川竜一「絶景のポリフォニー」/川島小鳥「明星」*